■N粘土鉱業I鉱業所(岩手県)その1

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日本三大鍾乳洞のひとつとされる「R泉洞」で有名な岩手県のI泉町。その山中に(といってもこの町のほとんどは山の中なんですけど……)巨大な木造の建物が残る廃鉱があるという情報が伝わってきたのは、2005年から2006年頃のことでしょうか。
鉱山の具体的な名称が不明だったこともあり、その話を聞いたときはあまりピンとこなかったのですが、考えてみたらそれって鉱山鉄道マニアの間ではよく知られた『N粘土鉱業I鉱業所』のことでは?……ということで、早速私の訪問予定リストに加えることにしたのでした。
とはいえ、みなさんご存じの通り岩手県って遠いじゃありませんか(どこに住んでいるかによりますか!?)。いつものごとく何かと理由をつけて先送りしていたところ、2007年5月、鉱山に残されていた北陸重機工業の4tディーゼル機関車(←マニアの方以外には不要な情報)が、運び出されてしまったとの情報が入ってきました。
これまで数多くの廃墟が姿を消す経緯を見てきた私からすると、これは近い将来解体&撤去が始まる前兆としか思えないということで、ようやく重い腰をあげ、岩手弾丸ツアーを敢行することにしたのでした。

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2007年の10月も後半に入ったある日、仕事を終えてからいろいろ準備を済ませ、夜中の2時に一人自宅を出発。10月下旬の東北はもう完全に冬を感じさせる寒さで、途中の東北道で休憩するとき上着を着ずにトイレに寄ったら、身体の震えが止まらず「東北なめてました。すみません」と心の中で謝りながら用を足すハメになってしまいました。
途中、持って行った食料で朝食を取ったりしつつ、10時くらいにようやく目的の『N粘土鉱業I鉱業所』に到着しました!

写真は下の公道から撮った(ほぼ)全景なんですけど、じつはこの鉱山、手前部分は現役施設でした。

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私が訪れた2007年10月時点での会社名はご覧の通り。
ここで簡単に『N粘土鉱業I鉱業所』について説明しておきましょう(興味の無い方は飛ばしてください)。

こちらの鉱山、江戸時代の天保年間からすでに石炭や耐火粘土を産出していたらしいのですが、本格的な鉱山として稼働しはじめたのは、1931年(昭和8年)東北鉄道鉱業株式会社が石炭の採掘を開始してからのことでした。この当時、鉱山の名称は地名から「小川鉱山(小川炭鉱)」と呼ばれていたようです。

そして、1936年(昭和11年)に東北鉄道鉱業は岩手炭礦鉄道株式会社と社名を変更し、1938年(昭和13年)より耐火粘土の採掘を開始します。この耐火粘土というのは、製鉄所の高炉で使う耐火レンガの原料で、鉄鋼を造るには欠かせないものとして、当時大きな需要がありました。

それから5年後の1946年(昭和18年)、どういう経緯があったのかはわかりませんが、岩手炭礦は日鉄鉱業に事業設備を委託。この頃には事業の中心は石炭ではなく、耐火粘土の生産となっていた模様です。さらに1948年(昭和23年)には岩手窯業鉱山と名称を変更したものの、なんと1954年(昭和29年)、鉄鋼不況のあおりを受けて倒産してしまいます。

まあ、そのままだと話が終わってしまうわけで、翌1955年(昭和30年)、耐火粘土を必要とする会社が出資して『N粘土鉱業』が設立され(ようやく出てきました)、岩手窯業鉱山の鉱業権を買収し事業を引き継いだということです。

そうして『N粘土鉱業』が採掘を再開し、それから40年あまり操業を続けてきましたが、他の多くの国内鉱山同様、コストの低い海外からの輸入などによって経営が悪化。引き継いだ三井金属系の石見鉱山株式会社により、1996年(平成8年)ついに坑内掘が中止され、閉山してしまいました。
最盛期には1,000人を超える鉱夫が働いていたそうですが、末期の姿しか知らない自分には、その頃の姿がうまく想像できない感じです。

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さて、どうやら今回目的の施設は、現役施設(粘土や石炭の露天掘りを行っているという話を聞きましたが真偽のほどは不明です)の奥にあるようです。

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敷地の外をうろついていると「岩泉30景 小川炭鉱」という標識を発見しました。「岩泉30景」が何なのかはわかりませんが、これは見に行ってもOKってことですかね?

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手前の太い窯のようなものも気になりますが、こちらは作業員風の人の姿があるので、接近するのは確実に無理でしょう。

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秋らしくていい雰囲気に見えますね。じつはメチャクチャ寒い上に、突然雨が降ったり晴れたりしてコンディションはイマイチだったんですけど……。

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敷地に沿って歩いていくと、レンガ造りの変電(発電?)施設が現れました。

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ガラスの具合などから判断すると、もう使われていない様子です。

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内部には使われていないモーターなどが転がっていました。

【つづく】

★この記事(N粘土鉱業I鉱業所)の途中を飛ばして見る



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by kuze007 | 2018-09-30 00:01 | 廃墟 | Comments(0)

廃墟・珍スポ・カオダシ看板・コンクリート公園遊具などの訪問&見物記録


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